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中小企業のスモールDX入門|いまの仕事から最初の改善を決める

この記事の目次

紙の申請書をExcelへ入力する。メールで届いた依頼を別の一覧表へ転記する。担当者ごとに違うファイルを使い、月末になると一つにまとめる。こうした仕事を見直したいと思っても、最初から新しいシステムやAIを導入する必要があるとは限りません。

今のやり方を少し変えるだけで済む仕事もあれば、先に業務の流れを整理した方がよい仕事もあります。クラウドや自動化を小さく試してから、広げるか判断した方がよい場合もあります。

中小企業のDXでは、大きな仕組みを一度に導入するよりも、今の仕事を見て、変える場所を絞り、小さく試すところから始める方法があります。この記事では、この進め方をスモールDXとして、最初の改善を決めるまでの流れを整理します。

スモールDXの進め方を、現状把握、優先順位、方法検討、小さく試す、定着、効果確認の流れで示した図
図1:スモールDX改善の全体像

スモールDXは、ツールを選ぶところから始めない

たとえば、社内の備品に不具合が見つかったとします。現在は、担当者へメールで連絡し、担当者がExcelへ記録し、修理が終わったら別の報告表へ入力しているとします。

ここで、すぐに新しいシステムを探すこともできます。しかし、その前に確認したいことがあります。

  • 同じ内容を何度入力しているか
  • 誰が対応状況を確認しているか
  • 返事待ちになっている場所はないか
  • Excelと報告表の両方が本当に必要か
  • 完了したかどうかを後から確認できるか

この確認をすると、必要なのは大きなシステムではなく、受付方法と記録方法を一つにまとめることだけかもしれません。反対に、複数の部署が関わり、同じ情報を何度も転記しているのであれば、部分的なExcel改善だけでは解決しない可能性があります。

何を導入するかより、どの仕事をどう変えたいのかを先に整理する。

これがスモールDXを始めるときの基本です。

最初に「そのまま・整理する・試す」を分ける

仕事の悩みがあるか、記録や担当、判断基準が整理されているかを確認し、そのまま、先に整理、小さく試すの3つに分ける判断フロー
図2:「そのまま・整理する・試す」の判断フロー

すべての仕事をデジタル化する必要はありません。まず、対象となる仕事を次の3つに分けて考えます。

判断どのような仕事か最初にすること
そのまま続ける手間が少なく、大きな問題もない無理に変えない
先に整理する転記、探し直し、待ち時間などがある業務の流れを書き出す
小さく試す課題と改善方法がある程度見えている対象を限定して試す

重要なのは、デジタル化する仕事を探すことではありません。

今困っている仕事の中から、変える意味があるものを選ぶことです。

頻度が低く、数分で終わる仕事を自動化するより、毎日繰り返している転記作業を減らす方が効果が大きいこともあります。

一方で、時間はかかっていなくても、入力間違いが経営判断や顧客対応に影響する仕事であれば、優先して見直す価値があります。

スモールDXを進める6つのステップ

  1. 目的を決める
    何を導入するかではなく、何を改善したいかを決めます。
  2. 今の業務を書く
    誰が受け取り、何を確認し、どこへ入力し、誰へ渡しているかを整理します。
  3. 変える場所を絞る
    やめる、減らす、まとめる、任せる、残すという視点から改善対象を選びます。
  4. 方法を比べる
    Excelを直すのか、クラウドを使うのか、自動化するのか、AIを使うのかを業務の条件から比較します。
  5. 小さく試す
    一部の担当者や一つの業務から試し、使えるかを確認します。
  6. 効果を確認して広げる
    時間、入力回数、ミス、確認のしやすさなどを比べ、続ける、直す、戻す、広げるを判断します。

この順番であれば、最初から大きな投資を決める必要はありません。途中で、今のExcelを少し直すだけで十分だと分かることもあります。反対に、複数の業務に同じ問題があり、一つの仕組みにまとめた方がよいと分かる場合もあります。

今の状況から、次に読む記事を選ぶ

スモールDXの進め方は、自社が今どこで困っているかによって変わります。現在の状況に近いものから確認してください。

今の状況次に確認するテーマ
DXとIT導入の違いがよく分からないDXとIT導入はどう違う?月次報告で考える改善の目的
DXやIT導入を始めたが進まない中小企業のDXが止まるとき|目的・現場・判断役から立て直す
どこに無駄があるのか整理できていない業務の流れを書き出すには?紙・メール・Excelの受け渡しを見る
何から改善すればよいか決められない業務改善はどこから?優先順位と「やめる仕事」を決める
全社導入の前に一部だけ試したいIT導入を小さく試す|現場と決める範囲・確認・戻し方
Excel・クラウド・AIのどれを使うか迷っているExcel・クラウド・AI、どれを選ぶ?仕事の条件から決める
IT導入の費用や見積もりの見方を知りたいIT導入の費用は何で決まる?内訳と見積もりで確認すること
導入した仕組みが使われなくなっているIT導入後に使われ続けるには?効果を測り、運用を直して広げる
実際に仕事がどう変わるか見てみたい紙・メール・Excelの仕事はどう変わる?備品の不具合連絡の例

最初から順番に読む必要はありません。自社が今困っているところから確認し、必要になった段階で前後の記事を見る使い方を想定しています。

ツールを入れなくても改善できることがある

スモールDXという名前から、何か新しいデジタルツールを導入する取り組みを想像するかもしれません。実際には、ツールを増やさない方がよい場合もあります。

たとえば、同じ内容を二つのExcelへ入力しているなら、一つをやめられないかを先に確認します。複数の担当者が同じ集計表を別々に作っているなら、集計方法を統一するだけで改善できるかもしれません。メールで十分に管理できる件数であれば、専用システムを導入するメリットが小さい場合もあります。

そのうえで、

  • Excelでは複数人で管理しにくい
  • メールだけでは対応状況を追えない
  • 同じ転記を何度もしている
  • 定型作業を毎日繰り返している
  • 情報は蓄積しているが集計できていない

といった問題が残るのであれば、クラウド、データ連携、自動化、AIなどを検討します。

ツールは改善の目的ではなく、改善するための選択肢の一つです。

自社だけで進めやすい改善と、整理した方がよい改善

自社で進めやすい改善と、先に整理した方がよい改善の違いを比較した図
図3:自社で進めやすい改善と、先に整理した方がよい改善

一つの部署、一人の担当者で完結し、変更する範囲も小さい仕事であれば、自社だけでも改善を進めやすいでしょう。たとえば、自分だけが使っているExcelの入力方法を見直したり、定型的な集計を関数でまとめたりするケースです。

一方で、次のような仕事は、変更する前に全体を整理した方が安全です。

  • 営業、事務、経理など複数の担当者をまたぐ
  • 同じ情報を複数のファイルやシステムへ入力している
  • 特定の担当者しか手順を把握していない
  • 紙、メール、Excel、業務システムが混在している
  • どこを直せば効果が出るのか判断できない
  • Excelを直すべきか、新しいツールを使うべきか決められない

一部分だけをデジタル化すると、別の場所に新しい転記作業が生まれることもあります。そのため、複数の担当者やツールをまたぐ仕事では、まず現在の受け渡しを確認することが重要です。

まずは一つの仕事から整理する

まずは、今困っている仕事を一つ選び、誰が受け取り、何を確認し、どこへ入力し、誰へ渡しているかを書き出してみます。

そのうえで、転記、探し直し、返事待ちなど、負担がある場所を一つ選びます。ここまで整理できれば、自社だけで改善を試せるのか、ツールや外部支援が必要なのかを判断しやすくなります。

自社だけで整理しにくい場合は

相談から改善までを、現状の仕事を確認、困りごとを整理、改善方法を比較、小さく試すの4ステップで示した図
図4:相談から改善までの流れ

オプティードでは、特定のITツールを導入することを前提にせず、現在の業務を確認するところから中小企業の業務改善を支援しています。たとえば、

  • どの業務から改善するか
  • 今使っているExcelを改善するか
  • Google WorkspaceやMicrosoft 365などを使うか
  • 定型作業を自動化するか
  • AIを使うことで負担を減らせるか
  • どこまで自社で行い、どこから外部へ任せるか

といった内容を、現在の仕事に合わせて整理します。

大きなシステムを最初から導入するのではなく、必要に応じて小さく試し、効果を確認してから次の改善を考えることもできます。

支援内容や進め方を確認したい場合は、スモールDX支援のページをご覧ください。すでに具体的な困りごとがある場合は、無料相談からご相談いただけます。

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