業務の流れを書き出すと、転記、探し直し、返事待ちなど、気になる場所がいくつも見つかります。ここで全部を一度に直そうとすると、検討することが増えすぎて、結局どれも進まないことがあります。
最初に直すのは一か所で十分です。この記事では、見つかった問題の中から最初に改善する一つを選ぶ方法を、備品の不具合連絡の例で整理します。
問題が複数見つかっても、全部は直さない
備品の不具合連絡の流れを書き出したところ、総務の仕事に次のような負担が見つかったとします。
| 見つかった負担 | 内容 |
|---|---|
| A:台帳への転記 | 連絡が来るたびに、メールの内容をExcelの台帳へ入力し直す |
| B:対応担当を探す | 機器ごとの担当が決まっておらず、毎回聞いて回る |
| C:対応状況を聞かれる | 依頼者から進み具合を聞かれ、担当へ確認する |
| D:月末の報告表 | 台帳の内容を、報告用の別のExcelへ写す |
| E:完了の確認漏れ | 対応後に依頼者へ確認したか、記録が残っていない |
これを全部まとめて直そうとすると、新しいシステムを入れる話になりがちです。しかし、関わる人が多いほど決めることも増え、準備に時間がかかります。まずは効果が出やすい一か所を選び、結果を確かめてから次へ進む方が、仕事を止めずに改善を続けられます。
この記事では、次の順番で最初の一つに絞ります。

まず、やめられないかを考える
改善というと、作業を速くする方法を考えがちです。その前に、その作業自体が今も必要かを確かめます。やめられる作業を効率化しても、手間が少し減るだけです。
たとえばDの月末の報告表は、誰が何に使っているかを確かめる価値があります。以前は会議で使っていたが今は誰も見ていない、台帳を見れば同じことが分かる、ということであれば、作るのをやめる選択肢があります。
ただし、作っている本人が使い道を知らないだけ、ということもあります。やめる前に、報告を受け取っている人や上司に、何に使っているかを確認してください。提出先や保存の決まりがある書類は、自分たちだけで判断せず、管理する担当者に確認します。
次に、減らせないか・まとめられないかを考える
やめられない作業でも、回数や手間を減らせることがあります。
- 減らす:毎週作っている報告を、月1回にできないか
- まとめる:台帳と報告表に同じ項目があるなら、一つの表にまとめられないか
- 決めておく:担当を探す手間は、機器ごとの担当を一覧にしておけば減らないか
Bの対応担当探しは、ツールを入れなくても、機器ごとの担当表を作るだけで解決するかもしれません。このように、新しいツールを買わずに試せる改善もあります。ただし、担当の確認やルールの共有には社内の時間がかかるため、その手間も見ておきます。ここまで考えても残った作業が、仕組みやツールで改善する候補になります。
改善候補を同じ視点で比べる
候補が複数残ったら、同じ視点で比べます。
| 見るポイント | 確認すること |
|---|---|
| 頻度 | 毎日起きるか、月に数回か |
| かかる時間 | 1回にどれくらい手間がかかるか |
| ミスや手戻り | 入力間違いや聞き返しが起きているか |
| 関わる人数 | 一人で済むか、複数の部署や担当者が関わるか |
| 顧客や経営への影響 | 放っておくと、顧客対応や経営判断に影響するか |
正確な時間を測っていなくても構いません。毎日、月1回、1回5分くらいといった目安で十分です。分からない欄は、担当者に聞くか、1〜2週間だけ記録してみます。備品の例で比べると、次のようになります。
| 候補 | 頻度 | 手間・ミス | 関わる人 | 影響 |
|---|---|---|---|---|
| A:台帳への転記 | 連絡のたび | 入力の手間、入力間違い | 総務 | 小さい |
| C:対応状況の問い合わせ | 週に数回 | 担当への確認、返事待ち | 依頼者・総務・担当 | 中くらい |
| E:完了の確認漏れ | 月に数回 | 再連絡、対応漏れ | 依頼者・総務・担当 | 大きい場合がある |
Eのように頻度が少なくても、対応漏れが安全や業務の停止につながる仕事は、後回しにしない方がよい場合があります。点数を付けて合計するより、なぜその候補を選ぶのかを一言で説明できるようにしておくと、関係者にも伝えやすくなります。
効果と取り組みやすさから、最初の一つを選ぶ
最後に、効果の大きさと取り組みやすさで選びます。
- 効果が大きく、取り組みやすい → 最初の候補にする
- 効果は大きいが、関わる人や決めることが多い → 準備してから取り組む
- 効果は小さいが、すぐできる → 合間に片付ける
- 効果が小さく、手間もかかる → 今回は見送る
備品の例の候補を当てはめると、次のようになります。

備品の例なら、対応状況と完了確認を探し直さずに把握できるようにすることを、最初の改善対象にできます。CとEに共通する負担で、総務が中心になって始められるからです。具体的な方法は次の段階で考え、Aの転記はその中であわせて見直します。
最初の一つは、小さすぎるくらいでちょうどよいと考えてください。小さな改善で効果を確かめられれば、次の改善を進めるときの判断材料にもなります。
改善しない仕事も決めておく
最初の対象を決めたら、今回は変えない仕事も書いておきます。
- 修理の方法や業者の選び方は変えない
- 他の備品業務や購入手続きには広げない
- 過去の報告表は削除しない
対象外を決めておくと、話し合いが広がりすぎず、試す範囲もはっきりします。後から「ついでにこれも」と範囲が膨らむのを防げます。
選んだ改善に合う方法を考える
最初の改善対象が決まったら、次はどう変えるかです。今のExcelを整えれば足りるのか、クラウドで共有した方がよいのか、自動化やAIが役立つのかは、仕事の条件によって変わります。
方法の選び方は、「Excel・クラウド・AI、どれを選ぶ?仕事の条件から決める」で整理しています。まだ問題の場所が見つかっていない場合は、「業務の流れを書き出すには?紙・メール・Excelの受け渡しを見る」から始めてください。
どこから手を付けるか決めきれないときは
候補が多く、関係者の意見も分かれていると、最初の一つを決めるだけで時間がかかることがあります。オプティードでは、現在の業務と困りごとを確認しながら、最初に改善する場所と、今回は変えない範囲を一緒に整理します。
まずは支援の内容や進め方を知りたい場合は、スモールDX支援のページをご覧ください。




