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AI活用支援

中小企業のAXを内製で進めるには?生成AIによる業務の仕組みづくり

この記事の目次

生成AIを使って業務を改善したいけれど、自社のどの仕事に使い、どう進めればよいのか分からない。文章の作成や要約は試していても、日々の転記や集計、情報管理の負担を減らす使い方までは見えていない方もいるのではないでしょうか。

生成AIは、Googleスプレッドシートの集計を自動化するプログラムや、情報を登録・共有する業務アプリを作るためにも使えます。作りたいものを言葉で伝えて試作し、画面や処理結果を確かめながら、自社の仕事に合う形へ整えていく方法です。

その仕組みを使って仕事の流れや担当者の役割まで見直すことが、AX(AIトランスフォーメーション)を進める一歩になります。この記事では、生成AIでできること、業務がどう変わるか、内製で進める手順を順に説明し、後半で専門家の支援を取り入れるメリットを紹介します。

生成AIで、自社の仕事に合う仕組みを作れる

生成AIには、使うデータ、必要な処理、欲しい結果を伝え、プログラムや画面の案を作ってもらえます。業務改善に役立つ機能の例を挙げると、次のようなものがあります。

  • 定型作業を自動化する:転記、集計、決まった書式の帳票作成など、繰り返している処理をまとめる。
  • 情報を取り出し、整理する:文書の読取り、内容別の分類、必要な情報の検索などを、日々の仕事に組み込む。
  • 業務に合うアプリを作る:入力画面、情報の共有、進捗管理など、自社の手順に合わせた使い方を形にする。
生成AIを使った仕組みづくりの例。転記・集計・帳票作成などの定型作業の自動化、読取り・分類・検索などの情報整理、入力・共有・進捗管理のためのアプリ作成。

こうした機能を組み合わせることで、受発注、問い合わせ対応、社内申請、報告書作成など、さまざまな仕事に合う仕組みを作っていけます。

ここでは、AIを使って仕組みを作ることと、完成した仕組みの中でAIを使うことを分けて考えると整理しやすくなります。

決まった列を集計する処理や入力フォームは、開発時にAIを使っても、運用中は通常のプログラムやクラウドの機能で動かせます。一方、書式がそろわないメールから情報を抜き出すなら、運用中にもAIを呼び出し、その結果を人が確認する方法が候補になります。後者では、AIの利用料や情報の取扱いも含めて設計します。

どちらも、AIを活用して作った仕組みを動かし、業務に合うかを確かめながら作る取り組みです。内製化では、自社で必要な機能や改善方針を決め、作成・設定・修正の一部を社内で続けられる状態を目指します。外部の支援を使いながら、社内で担う範囲を広げる進め方もあります。

内製化をAXにつなげるには、仕事の流れまで見直す

AXは、AIの活用を通じて業務や組織のあり方を変えていく取り組みです。中小企業が内製で取り組む際も、作る機能と併せて、「誰の、どの作業を変え、何を良くするか」を考えます。

たとえば、メールで届く作業依頼を事務担当者が一覧へまとめている仕事を考えます。受信箱から依頼を探し、内容と希望日をスプレッドシートへ転記し、対応が始まった後も担当者へ進捗を聞いて一覧を更新しているとします。

この仕事で減らしたいのは、メールを探すこと、一から情報を写すこと、進み具合を聞き回ることです。それぞれを次のように変える仕組みが考えられます。

  • 対象のメールを自動で取り込む:宛先やラベルなどの条件を決め、Gmailから依頼を定期的に取り込みます。確認する依頼が一か所に集まるため、受信箱から毎回探して開く手間を減らせます。
  • AIが入力候補を用意する:依頼内容と希望日をAIが取り出し、確認画面の項目へ入れます。担当者は元の文章と見比べ、必要な箇所を修正して確定します。確定した内容は共有の一覧へ反映されるため、同じ情報をもう一度転記する作業を省けます。
  • 対応状況をその場で共有する:対応する担当者が同じ一覧の状況を更新します。事務担当者は未完了の依頼をまとめて確認でき、依頼ごとに進捗を問い合わせて一覧へ写す手間を減らせます。
依頼受付の作業を前後で比較。メールを探して拾う作業は対象メールの自動取込みへ、一から一覧に転記する作業はAIの入力候補の確認・修正へ、担当者に進捗を聞いて写す作業は共有一覧での確認へ変える。

担当・優先順位・期限の決定は人が行います。内容に不足があれば確認し、対応が止まっている依頼は調整します。日々の受付では、用意された候補の確認や、対応が必要な依頼に時間を使えるようにすることを目指します。

こうした変化を業務に定着させ、効果を見ながら改善を続けることが、AXへつなげるための取り組みです。内製化は、現場で見つかった改善点を自社で仕組みに反映していくための手段になります。

AIを使う前提となるデータの整備・管理については、経済産業省の「デジタルスキル標準」でも重要性が示されています。この例でも、依頼内容、担当、期限、対応状況の持ち方をそろえることが、情報共有と継続的な改善の土台になります。経済産業省「デジタルスキル標準」

AXの基本やDXとの関係は、AXとは?DXとの違いと中小企業の進め方でも紹介しています。ここからは、この作業依頼の例を使って、仕組みを内製する手順を見ていきます。

生成AIを使った内製化は、4つのステップで進める

内製化の4ステップ。1は困る作業を整理して一つの部署に範囲を絞る。2は画面と処理を試作して一件を登録する。3は誤読や重複を含む条件で利用者が操作して確かめる。4は管理担当と手順を共有し、困りごとを記録して改善する。

1.改善する仕事と、最初に作る範囲を決める

まず、現在の仕事を確認し、どこに時間や手間がかかっているかを整理します。作業依頼なら、次のように書き出せます。

整理する項目 作業依頼の例
いまの困りごと メールを探し直す、転記する、進捗を聞き回る
改善後にどうしたいか 依頼が自動で集まり、候補の確認と対応が必要な依頼の調整に集中する
最初に試す範囲 一つの部署のメールを対象に、取込み・候補の確認・共有一覧を試す
人が判断すること 内容の確認、優先順位、担当・期限、完了の判断
効果を確かめる項目 登録にかかる時間、進捗確認の回数、記入漏れ

最初は対象を絞り、メールの取込みから候補の確認・確定、対応状況の共有までを一度つなげます。通知や他システムとの連携は、試して必要性を確かめてから追加できます。

この段階では、既製のサービスで対応できるかも比べます。依頼者が直接フォームへ入力できるなら、メールから情報を取り出す手順自体を省ける可能性があります。現在の受付方法を続ける必要があるかも含めて選びます。業務の整理には、紙・メール・Excelの受け渡しを見る方法も参考になります。

2.作る方法を選び、必要な画面と処理を試作する

ここでは、Googleスプレッドシート、Gemini、Google Apps Scriptを使う方法で考えます。それぞれの役割は、次のように分かれます。

  • Googleスプレッドシート:依頼内容・希望日・担当・期限・対応状況を保存する一覧にする。
  • Gemini:作りたい画面や処理を言葉で伝え、プログラムのコードや修正案を作るために使う。
  • Google Apps Script:Googleのサービスと連携するプログラムを、ブラウザで編集・実行する道具。作成したコードを動かし、確認画面の表示やスプレッドシートへの保存を行う。

Gmailの対象メールを定期的に取り込む処理も、Apps Scriptで作ります。宛先やラベルなどで対象を選ぶ処理と、一定の間隔で実行する設定を組み合わせます。Google公式「GmailApp」、インストール可能なトリガー

Apps ScriptはGoogleのサーバーで動作し、ブラウザから利用するウェブアプリも作れます。自分のブラウザで動作を確かめる段階から、社内で使う人へ共有する段階までを考えて作成します。Google公式「Apps Scriptの概要」、ウェブアプリ

作業依頼の例なら、まずスプレッドシートに保存する項目を決め、Geminiへ次のように依頼します。

Google Apps Scriptとスプレッドシートで、社内の作業依頼を管理したい。Gmailの対象メールを定期的に取り込み、Gemini APIで依頼内容と希望日の入力候補を作る。同じメールは重複して取り込まない。元の文章と候補を並べて確認し、必要な箇所だけ直して確定できる画面を作りたい。希望日の記載がなければ未定にする。確定した内容を共有の一覧に反映し、担当・期限・対応状況を更新できるようにしたい。

作成したコードは、スプレッドシートの「拡張機能」から開くApps Scriptの編集画面へ入れて動かします。最初は対象を試作用のメール一件に絞り、取込み、候補の表示、修正、確定までを確かめます。確定した内容が一覧へ反映され、担当や対応状況を更新できるかも試します。うまく動かない箇所や使いにくい操作は、結果を伝えてコードを修正し、もう一度試します。

この例では、コード作成の相談に使うGeminiと、アプリからAIを呼び出すためのGemini APIを使います。後者は、メールから候補を取り出すための接続設定が必要です。APIの認証、利用条件や料金、利用者ごとの閲覧・編集範囲も確認して整えます。Google公式「Gemini APIスタートガイド」

開発時も運用時も、業務情報をAIへ渡す前に、サービス側の情報の扱いと社内ルールを確認します。最初の試作は、画面や処理の確認に足りるサンプルで進めます。

3.実際に起こる条件で、結果と使い勝手を確かめる

試作が動いたら、通常の依頼に加え、希望日の記載がない、文章が曖昧、同じメールを繰り返し処理する、担当を変更する、といった条件で試します。対象外のメールが混ざらないか、取り込めなかったメールに気づけるか、AIが誤って取り出した情報を元の文章と見比べて直せるかも確認します。

また、画面の操作だけでなく、責任者が担当を決められるか、対応者が状況を更新する時間を取れるか、未完了の依頼に気づけるかも確かめます。使う人に試してもらうことで、仕組みと実際の仕事のずれが見えてきます。

修正後は、直した箇所と、以前できていた処理への影響を確認します。GitHubの公式資料も、AIが生成したコードについて、テストや目的との一致、保守しやすさを人が確認することを勧めています。GitHub Docs「Review AI-generated code」

4.運用する担当を決め、社内で改善を続ける

運用を始める前に、利用者の権限、設定・データの保存先、管理する担当、変更時の確認方法を共有します。担当者の追加や一覧の表示条件の変更など、日常的な操作は手順を残します。動かなくなった場合の連絡先や、データを戻す方法も決めておきます。

使い始めてから見つかった困りごとは記録し、優先順位を付けて直します。最初の部署で、情報の確認から対応完了までを無理なく続けられるかを確かめ、その経験を基に対象を広げていきます。

費用と効果は、業務全体で確かめる

費用はAI・クラウドの利用料、社内の作業時間、外部支援を含めて考える。効果は導入前後の同じ業務で、転記だけでなく確認・修正・状況更新の時間と、対応の遅れや漏れを比較する。

内製化の費用には、AIやクラウドの利用料に加え、課題整理、試作、データの整理、動作確認、操作の共有、運用後の修正にかかる社内の時間も含めます。日常の処理にAIを組み込む場合は、処理件数に応じた利用料も確認します。

効果は、依頼メールを探す時間、一覧へ入力する時間、進捗を問い合わせる回数、記入漏れや対応の遅れなどを導入前後で比べます。AIの入力候補を確認・修正する時間や、対応者が状況を更新する時間も含めて、業務全体の負担を見ます。

短縮できた時間を、情報不足への対応や優先順位の調整など、必要な仕事へ振り向けられるかも確認します。作業時間の短縮がそのまま人件費の支出削減になるとは限らないため、残業や対応の遅れへの影響も見て判断します。

外部の支援を使う場合は、最初に作る範囲、修正に含まれる内容、運用後の相談・保守、AIやクラウドの利用料を分けて確認します。見積もりの見方は、IT導入の費用と見積もりで確認することで紹介しています。

専門家と一緒に進め、社内で扱える範囲を広げる

ここまでの手順で、必要な機能を絞れない、結果の正しさを判断しにくい、変更の影響が分からないといった場面では、専門家の支援を取り入れる方法があります。社内担当者も参加することで、現場の知識と設計・開発の知識を合わせて進められます。

  • 課題と作る範囲を整理できる:たとえば「通知が欲しい」という要望の背景を確認し、担当が決まらない問題なのか、期限に気づかない問題なのかを整理します。既存の道具で対応するかも含めて選べます。
  • 確認しにくい部分を一緒に検証できる:担当者が普段の手順や例外を伝え、専門家がデータの持ち方、処理、権限などを確認します。使いやすさと、情報・処理の正しさを両方から確かめられます。
  • 社内に運用・改善の知識を残せる:設定や変更の理由を共有し、手順を残します。表示条件は社内で変更し、データ構造や権限の変更は専門家に相談するなど、経験に合う分担を決められます。
社内担当者は普段の手順・例外を伝え、試して操作性を確かめ、日常運用を担う。専門家は課題と必要な機能を整理し、処理と権限を確認して変更手順を共有する。一緒に社内で運用・改善できる状態を目指す。

オプティードのAI活用支援

オプティードでは、専門家が現在の業務と課題を整理し、担当者の方と一緒にAIを活用した仕組みづくりを進めます。必要な機能を小さく作って試し、実際の仕事に合う形へ調整します。

生成AIを使った開発に加え、書類の読取りや問い合わせの分類など、業務の中でAIを使う仕組みも対象にできます。使い方や確認手順を共有し、社内で運用・改善していける状態を目指します。支援する範囲や費用、運用後の対応は、対象業務に合わせてご提案します。

「生成AIを使って、どの仕事から改善すればよいか」という段階からご相談いただけます。困っている仕事と普段使っている道具を、分かる範囲でお聞かせください。

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